歯科医院に通っていると、治療の後にフッ素を歯に塗られることがあります。
また、小さい子どもがいる場合、定期的にフッ素を塗布しに来るように言われることがあります。
しかし、フッ素を歯に塗ることによって、どのような効果があるのか知らない人もいるでしょう。
フッ素塗布の効果について、解説します。
フッ素とは?
歯科医院で、フッ素を歯に塗られたことがある人は多いのではないでしょうか。
しかし、フッ素が何なのかと聞かれると、明確な答えを知らない人が多いと思います。
フッ素とは、いったいどのようなものなのでしょうか?
フッ素が特別なもの、専門的な薬品だと思っている人もいるかもしれません。
実際には、フッ素は非常に身近なもので、普段食べているものにも、フッ素が含まれています。
例えば、清涼飲料水やお味噌汁、お茶などにもフッ素は含まれています。
フッ素が薬品だと誤解していると、体に入って大丈夫なものなのか不安に思うかもしれません。
しかし、上記のとおり普通の食品などに含まれているので、フッ素が口に入ったからといって、基本的には体に悪影響が起こるということはないのです。
フッ素は、歯科医院だけで使用する薬品でも、取り扱いに資格がいる薬品でもありません。
ドラッグストアなどで買える歯磨き粉などのオーラルケア用品にも、フッ素が配合されているものはたくさんあります。
自宅で歯に付けることもできるため、歯科医院で塗布してもらうだけでなく、普段から自分で塗布しておくと、より効果的でしょう。
ただし、自分で塗布する場合には、気をつけたい点があります。
それは、大量摂取は避けるべき、ということです。
フッ素は基本的に安全なものですが、大量摂取した場合には、中毒症状を引き起こす可能性があります。
フッ素急性中毒といい、腹痛、下痢、嘔吐などを引き起こします。
進行すると痙攣することもあるのです。
フッ素を1kgあたり5~10mg以上摂取した場合に起こる可能性がありますが、日本ではめったに起こるものではありません。
海外の場合、フッ素が含まれるフッ化物の錠剤があるため、大量に飲むことで中毒が起こることがあります。
ちなみに、市販の歯磨き粉の場合、体重7kgの子どもが歯磨き粉チューブを一気に全部飲むと、中毒が起こる可能性があります。
子ども用の歯磨き粉は、フルーツ味などお菓子のように甘い味がついているものもあるため、目を離した時に子どもが飲み込んでしまうことがあるかもしれません。
そうならないよう、子ども用の歯磨き粉は、大人がしっかり管理する必要があります。
歯科医院で歯の表面に塗布するフッ素の量は、それほど多くはありません。
したがって、上記のような中毒症状が起こることはないため、安心して塗布してもらってください。
ただし、フッ素塗布をした当日に、市販のフッ素入りオーラルケア用品を使用する場合には、大量に使用しないよう気をつけましょう。
フッ素にはどのような働きがある?
フッ素には、主に2つの働きがあります。
歯の再石灰化を促進する働きと、歯を強くする働きです。
それぞれ、具体的な内容について解説します。
歯は、ミュータンス菌が産生する酸によって溶け、主成分であるカルシウムやリンが流れ出てしまうことがあります。
この現象を脱灰といいます。
再石灰化はそれを修復することを指すのです。
フッ素には、溶け出したカルシウムやリンなどを再び歯に戻し、結晶化する動きを促進する働きがあります。
これが、フッ素の働きで特に重要な点といえるでしょう。
もう1つの歯を強くする働きというのは、歯を構成する物質を作り替えるというものです。
前述した再石灰化の際に、歯を構成するハイドロキシアパタイトという物質を、フッ素が入ったフルオロアパタイトという強い物質に造り替えてくれます。
まとめ
フッ素を歯科医院で塗布するのは、虫歯予防の効果があるからです。
しかし、具体的にどのような働きがあるのかについて、知らない人も多いでしょう。
フッ素は、主に歯の再石灰化を促進し、歯を構成しているハイドロキシアパタイトをフルオロアパタイトへと造り替える働きがあります。
フッ素は、普通の食品などにも含まれている安全な成分ですが、大量摂取してしまうと中毒を起こすこともあります。
特に甘い味がついた子ども用の歯磨き粉については、誤食を避けるためにも大人がしっかり管理してください。