歯を失ってしまった場合の治療方法として、インプラント治療があります。
しかし、実は矯正治療にもインプラントを利用することがあります。
インプラントを利用した矯正治療はインプラント矯正というのですが、歯の代わりにするインプラントとは全く別物です。どのような治療を行うのか、解説します。
インプラント矯正について
インプラント治療は、歯を失ってしまった時の代表的な治療方法です。
歯根の代わりになるインプラント体を歯茎に埋め込み、歯冠の代わりになる上部構造を装着するという治療で、他の治療方法よりも天然歯に近い強さで噛むことができます。
通常のインプラント治療は、デンタルインプラントとも呼ばれます。
他にも、インプラント矯正というものがあるのですが、デンタルインプラントとはかなり違いがあります。
インプラント矯正の場合は、インプラント体ではなく歯科矯正用のアンカースクリューを埋め込み、支えにして矯正治療を行います。
固定する場所を自由に決めることができるのが、ワイヤー矯正との違いです。
埋め込むアンカースクリューには、短い距離を移動させるねじ型のスクリュータイプと、複数のねじを埋め込んで長い距離を移動させるプレートタイプがあります。
プレートタイプは、スクリュータイプの2倍ほどの力に耐えることができます。
インプラント矯正のメリットとデメリット
インプラント矯正は、他の矯正方法とかなり違う治療を行うのですが、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか？
主なメリットとデメリットについて、解説します。
まず、固定した箇所はしっかりと固定されて動かないというメリットがあります。
ワイヤー矯正の場合は、全体に装置を装着することになるため、奥歯も動いてしまうことが多いのです。
しかし、インプラント矯正は固定する箇所を選ぶことができるので、他の歯に影響を与えないように矯正することができます。
部分矯正には、特に向いているでしょう。
また、矯正治療にかかる期間が短くなるというのもメリットです。
多くの矯正治療は、奥歯が前にずれるのを防ぐために、まず犬歯を移動させてから前歯を動かすなど、段階を分けて治療する必要がありました。
インプラント矯正の場合は、歯をピンポイントで動かすこともできれば、まとめて動かすこともできるため、治療を分けて行う必要がなく、治療にかかる期間も大きく短縮できます。
他の矯正治療では、奥歯を奥に動かすのが難しいため小臼歯を抜歯しなくてはならないケースが多かったのですが、インプラント矯正の場合は奥に動かすことが可能なので、スペースを確保するのも簡単にできます。
抜歯の必要がないというのも、大きなメリットです。
抜歯をした歯は元に戻らないので、矯正治療に必要だとしてもできるだけ抜歯しない方がいいのです。
また、歯を骨の中に埋めるように動かすことも可能なので、歯茎が見えてしまうガミースマイルや、奥歯を咬み合わせると前歯がズレてしまうような歯並びの場合も、治療が可能です。
デメリットしては、まずインプラント矯正の場合、埋め込んだねじが抜けてしまうことがあります。
ねじは、後から外すためにゆるく埋め込むことがあり、外れてしまった場合はもう一度埋め直す必要があります。
また、治療を受けるには年齢制限があります。
16歳未満だと骨がまだ成長途中なので、治療を受けることができないのです。
小児矯正にはできないので、注意してください。
まとめ
矯正治療の方法には、マウスピース矯正やワイヤー矯正などがあるのですが、中にはインプラントを利用したインプラント矯正というものもあります。
インプラント矯正は、他の矯正方法とは大きく異なる治療で、メリットやデメリットなども他の治療とは異なります。
歯茎にねじを埋め込んで固定するため、痛みを心配する人も多いのですが、痛みはかなり少ないので安心して治療を受けられます。
