一般の病院において小児科という子ども専用の診療科目があるように、歯科でも一般的な診療科目の他に小児歯科があります。
子どもの歯は大人の歯と異なる点があるため、別の診療科目になっているのです。
子どもの歯が大人の歯とどう違うのか、解説します。
子どもの歯の特徴
子どもが生まれたばかりの時は、大人の歯である永久歯は当然のことながら、子どもの歯の乳歯さえも1本も生えていません。
乳歯が生える時期は個人差が大きく、早ければ生まれて4カ月ほどで生え始めますが、遅い場合には、1歳を過ぎてから生えることもあります。
乳歯が生える時は、基本的に前歯から生え始めます。
多くの場合、下の前歯が最初に生えてきますが、上の前歯から生え始めることも珍しくはありません。
歯の生える順番には個人差があるので、生え始める場所についてそれほど気にしなくても問題はないのです。
人によっては、前歯が生えそろう前に、奥歯が生え始めることもあります。
少しずつ乳歯が増えていき、全て生えそろうのは通常2歳半から3歳頃にかけてです。
しかし、4歳を過ぎても生えそろわないケースもあります。
生え揃う時期にも個人差があるのですが、気になる場合は歯科医院に相談してみましょう。
乳歯が生えそろったら、今度はすぐに大人の歯、つまり永久歯へと生え変わり始めます。
生えかわりが始まるのは、おおよそ5歳から7歳までの間です。
もしも8歳頃までに生えてこなかった場合には、歯茎の奥に永久歯が形成されているのかどうか歯科医院に相談し、レントゲン撮影で確認してもらいましょう。
乳歯が虫歯になった時の対処方法
子どもの歯は、大人の歯と比べてデリケートです。
乳歯に限らず、永久歯に生えかわってもまだ未成熟な状態です。
ゆえに、虫歯になりやすく、虫歯になった場合の進行のスピードも速い傾向にあります。
虫歯になっても痛みが少ないため、気付くタイミングが遅くなりがちです。
また、子どもが歯を磨く時は大人と同様に汚れを落とすのが難しく、汚れが残りやすいため、自分で虫歯を予防するのは難しいでしょう。
子どもが虫歯にならないようにするためには、大人が仕上げ磨きをして手伝ってあげる必要があります。
乳歯が虫歯になった時、「いずれ永久歯に生えかわるのだから、放っておいてもいい」と考える人がいます。
しかし、この考えは誤りで、いずれ生え変わるからといって放置してはいけないのです。
永久歯は、乳歯が抜けてから作られていくわけではありません。
生え変わる時には既に歯茎の中で形成され、乳歯が抜けた後、ゆっくりとせりあがってきます。
乳歯が虫歯になった時、虫歯菌は表面にある乳歯だけではなく、奥にある永久歯にも感染します。
生え変わった永久歯が、既に虫歯になっている可能性もあるのです。
そのため、「いずれ生え変わるから」と乳歯の虫歯を放置していてはいけません。
虫歯を放置すると他の歯にも感染し、虫歯になる歯が増えてしまいます。
乳歯であっても、虫歯は一刻も早く治療しなくてはならないのです。
虫歯を予防するためには、子どもの頃から丁寧に歯を磨くことを習慣づけておくことが大切です。
子どものうちに習慣づけておくことで、大人になってからも歯磨きをしっかりとするのが当たり前になり、虫歯のリスクを減らすことができます。
また、生まれた時は口内に虫歯菌が存在していないのですが、周囲に虫歯菌を持つ人がいると感染のリスクがあるため、保護者に虫歯がある場合には早めに治療しておきましょう。
食器の共有でも感染するので、注意してください。
まとめ
子どもの歯は、乳歯と永久歯のどちらも非常にデリケートです。
成長に伴って頑丈になっていくため、幼い頃はまだ弱いのです。
そのため、虫歯にもなりやすいのですが、乳歯が虫歯になった場合でも放置せずになるべく早く治療しなければ、生えかわった永久歯も虫歯になってしまう可能性があります。
虫歯になった場合には放っておかず、歯科医院で治療をしてください。
また、子どもの頃から正しい歯磨きをしていると虫歯予防になるので、小児歯科でブラッシング指導を受けることをおすすめします。