ほとんどの人は、虫歯や歯周病で自覚症状が出てから、あるいは歯が取れた・折れた時など、何らかのトラブルが発生した時に歯科医院を受診するのではないでしょうか。
しかし、トラブルが起こってからでは、治療に時間がかかってしまいます。
そうならないよう、トラブルを未然に防ぐために受診する、予防歯科と言う診療科目があるのです。
予防歯科の内容や重要性について解説します。
予防歯科とは？
きちんと歯を磨かないと虫歯になる、と子どもの頃に言われたことがある人は多いと思います。
確かに、歯磨きをしないと虫歯になってしまいます。
ただし、歯磨きをすれば虫歯にならないのかというと、決してそうではありません。
歯磨きを毎日丁寧にしているつもりでも、知らないうちに虫歯や歯周病になってしまうことはよくあります。
原因となる歯垢や歯石を歯磨きの時に落としきれていないと、虫歯や歯周病になってしまうのです。
歯垢はプラークともいい、歯に付着している細菌が繁殖することで発生します。
食べ物の残りカスなどが付着していると、細菌がエサにして増えてしまい、プラークが生じるのです。
歯垢を取らないまま放置していると、石灰化して歯石になってしまいます。
歯石は、歯を磨いているだけでは取れません。
歯石を生じさせないためには、歯垢を残さず落とすことが大切です。
虫歯や歯周病になって自覚症状が出てくるのは、かなり進行してからです。
自覚症状が出た時、虫歯の場合は歯を大きく削る必要があります。
歯周病の場合は、歯茎に炎症が起こって歯周組織が破壊されてしまっているため、治療には時間がかかります。
削った歯は元に戻ることはありません。
また、歯周組織が破壊されてしまうと、時間をかけて完治させる必要があります。
歯の寿命が短くなってしまうため、できれば削らずに治療するべきです。
予防歯科では、歯の状態をチェックし、虫歯や歯周病になるのを防止します。
チェックした時に虫歯や歯周病が見つかったとしても、治療を早期に終えることが可能です。
なぜなら、まだ自覚症状が出ていない初期段階のケースが多いからです。
ゆえに、治療する場合も歯を削る必要がなく、歯周組織も大きく破壊されていないため、完治までの期間が短くなります。
予防歯科は、スウェーデンやアメリカでは一般的で、多くの人が受診しています。
スウェーデンでは、予防歯科の効果で高齢者に残存している歯の本数が多く、80歳以上の方でも平均21本残っています。
予防歯科の重要性について
予防歯科においては、虫歯や歯周病にならないように、原因となる歯垢や歯石を除去して、感染を防ぎます。
通常は、感染して症状が進行してから治療しますが、予防歯科の場合は感染自体を防ぐので、歯に与えられるダメージもごくわずかです。
歯にトラブルが起こった場合の影響は、口内だけに留まりません。
原因菌が血液と共に全身へと運ばれていき、誤嚥性肺炎や心筋梗塞などを引き起こすこともあります。
また、歯が無くなるとしっかり噛むことが出来なくなり、胃腸にも大きな負担がかかってしまうのです。
クリーニングを受けて歯をきれいにしてもらうことで、虫歯や歯周病にかかる可能性はかなり低くなります。
予防歯科に通うことは、トータルの治療費を抑えることにもつながるのです。
予防歯科でクリーニングを受けるだけなら、それほど高額な費用はかかりません。
しかし、虫歯や歯周病が進行してから治療を受ける場合には、何度も歯科医院に通う必要があるため、治療費の合計額は高額になってしまうでしょう。
事前に虫歯や歯周病を予防しておき、初期段階で治療することができれば、完治も早く治療費も少なくて済みます。
被せもの使用しない治療が可能な段階で治すことができる分、かなり安くなるでしょう。
まとめ
予防歯科は、虫歯や歯周病を治療するのではなく、虫歯や歯周病にならないようにすることを目的としています。
初期段階で発見して治療できれば、治療にかかる期間も短くなり、治療費の合計額も安く済むでしょう。
スウェーデンやアメリカでは有名で、日本でも近年増えつつあります。
歯を長く使い続けられるように、予防歯科を受診しましょう。
