矯正治療を受けようとする方の中には、数ある矯正方法の中から、どれを選べば良いか悩んでいる方もいるかと思います。
また、そのような場合、あまり聞き馴染みのない矯正方法に対しても、興味を抱くことがあるでしょう。
今回は、矯正方法の一つであるデーモンシステムのメリット・デメリットを解説します。
デーモンシステムの概要
デーモンシステムは、ブラケット自体にキャップが付いていて、結紮線(けっさつせん)やゴムを使用せず、ワイヤーを装着できる矯正器具です。
アメリカのドワイト・デイモンという矯正医が開発したことから、このような名前が付けられました。
これまでの矯正治療は、ブラケットとワイヤーを結紮線という細いワイヤーで固定し、十分な力を加える方法が採用されてきましたが、デーモンシステムは矯正する力が弱いという特徴があり、従来の矯正治療とは一線を画しています。
デーモンシステムのメリット
デーモンシステムには、主に以下のようなメリットがあります。
・治療期間が短い
・痛みが少ない
・歯や顎関節への負担が少ない
・歯根吸収などのリスクを抑えられる
治療期間が短い
デーモンシステムは、治療期間が短いです。
こちらは、ブラケットとワイヤーの摩擦が少ないことから、歯の移動するスピードが早く、治療期間が短縮されることが理由です。
また、治療期間が短いということは、負担が少ないだけでなく、歯科クリニックに通う回数も少なくなり、手間が減ることにもつながります。
痛みが少ない
従来の矯正器具では、ブラケットとワイヤーが固定されていたため、歯の移動には強い力が必要でした。
一方、デーモンシステムでは、ブラケットの中をワイヤーが滑りながら、弱い力で徐々に歯を動かすため、痛みが軽減されています。
歯や顎関節への負担が少ない
弱い力で本来の生理に従って歯を動かすデーモンシステムは、歯や顎関節への負担が少ない矯正方法です。
強い力で無理に歯を動かすわけではなくため、後戻りもしづらく、歯はもちろん、周辺の骨や筋肉、歯周組織なども徐々に健康になっていきます。
歯根吸収などのリスクを抑えられる
歯根吸収とは、矯正治療により、歯が動くたびに歯根が削れて短くなる症状です。
従来の矯正治療は、歯根に前後左右に圧力をかけるため、歯根吸収は避けられないという認識が常識となっていましたが、デーモンシステムは効率的に歯列への圧力をかけられるため、歯根への負担が少なく、歯根吸収の発生率も抑えられます。
デーモンシステムのデメリット
デーモンシステムには数々のメリットがありますが、一方で以下のようなデメリットもあります。
・違和感を覚えやすい
・見た目が気になりやすい
違和感を覚えやすい
デーモンシステムは、若干複雑な構造をしていることから、従来のブラケットと比べて厚みがあります。
そのため、慣れないうちは違和感や不快感があったり、口内炎ができたりすることもあります。
見た目が気になりやすい
デーモンシステムは、歯の表側に装置を付ける矯正器具です。
そのため、人によっては見た目が気になる可能性があります。
ただし、近年は透明のブラケットが開発されていたり、色の濃い食べ物を食べたときに、色が装置に残りやすくなる欠点を改良したりしているため、以前よりは見た目がデメリットになりにくくなっています。
まとめ
ここまで、矯正方法の一つであるデーモンシステムについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
通常のワイヤー矯正やマウスピース矯正と比べて、デーモンシステムを知っている方はあまり多くないかもしれませんが、取り扱っている歯科クリニックは意外と多いです。
そのため、今後矯正治療を受ける機会がある方は、歯科クリニックの医師との話し合いの上、こちらの矯正方法も選択肢の一つに入れることをおすすめします。